湯治柳屋

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今、目の前の・・・

今、目の前の・・・

 

 「お客様が来ない時、人は焦ってあれやこれやしてしまいがちだけど、自分は、今、目の前のお客様を大切にする。そのことしかないと思ってやってきた。」と、私がサリーガーデンを開く前に師匠から何度も聞かされていた話。

 実際、店を始めても、一人のお客様もいらっしゃらない日もあり、その言葉を杖としながら過ごした一年目。そして8年目を迎えた今、また、その言葉を思い出す。

 

 私は師匠の言葉を自分に言い聞かせながら、焦る心を落ち着かせながらの日々。だけど、サリーも柳屋も、スタッフ達は自然にその気持ちが湧いてきているように見えるから、彼らの心根は美しいと思うし羨ましくも思う。

 柳屋のミーティングで、「今日、来られたお客様に、必ずまた来たいと思っていただけるようお迎えしましょう」と結ぶ言葉を聞いてホッとする。目の前にいてくださる方に感謝して大切にする。今はそれだけ。

 

 鉄輪はお客様の姿があってこそ完結するまちなのだと、地震の後、人通りの途絶えたまちに寒々しさを覚えながら、あらためて気がつきました。観光の方、湯治の方、ゆったりと路地を歩くお客様の姿があってこその鉄輪の風景なのです。

 「Go Beppu」や「別府は元気です。元気な別府に来てください」と呼びかけるキャンペーンはありがたいです。でも同時に、今こんな時だからこそ、立ち止まらざるを得ない時間を与えられたからこそ、ここでしておくべきことがあるはず、という思いも強くもちます。

 別府の魅力、鉄輪の魅力を見つめ直したい。大切に守り継ぐべきことをおろそかにしていないか。お客様が来てくださることに甘えて、整えるべき当たり前のことをおざなりにしていないか・・・ 別府の町が大好きで、鉄輪は他に二つとない素晴らしいまちだと信じているから熱く語ってしまいます。思いを同じくする仲間と話をする機会も増えました。

 大きな理想を描くこと。今できることから一つずつ取り組むこと。先人の姿に学んでいます。

 

 そして柳屋では、これまでずっと気になりながらも、日常に紛れ流されていたことを実行・実現しています。

例えば・・・

*中庭の地獄釜のそばにテーブルとイスを増やし、もっと外で地獄蒸しを楽しんでいただけるようにする。

*柳屋の前の銀座通りにベンチを増やす。お風呂上がりに風に当たったり、本を読んだり、お喋りをしたり、ボーッとしたり・・・ それが鉄輪らしい贅沢な過ごし方だと思うから。

*お風呂場に冷たい飲み水をご用意する。

*柳屋のパンフレットを作る‼・・・今までなかったのが不思議ですが。すみません。

 一つずつ実行するたび、「中庭が気持ちよかった」「お風呂上がりの水が美味しかった」とすぐさまお客様の声が戻ってくるので、私たちのやる気をUPさせてくれます。喜び上手なお客様に、ほめて育てていただいているのです。

 

ehko